わたしが嫁に行くまでの記録

貞操観念が狂ってる女の婚活と色恋記録

円周率のような関係 1

わたしはわたしに向けられた性欲しか信じない。

 

 

その男は、わたしと似ていると思った。

最初の印象は、”軽そうだけど、でも面白い男”

次の印象は、”この人は、わたしを抱きたがってる”

その予想は、間違ってはいなかった。

 

見た目がタイプの男に、性欲を向けられると断れないところがわたしにはあった。

その男と付き合いたいとか、好きだとかそういう感情はその時には、無い。

男がグラビアアイドルを見て、抱きたいとは思うが、付き合いたいとは思わないのと同じだろう。

 

その日も、わたしは自分に向けられた欲望をキャッチしてそれに答えた。

悪くは無かった。

わたしは女なので、そうなるのは簡単だと思っていた。

 

答えた後は、いつも苦しい。

一応、わたしも女なので、身体を許してしまうと気持ちまでひっぱられそうになる。

でも、言葉を使った気持ちのコミュニケーションが苦手なわたしは自分から連絡をすることを極力我慢する。

 

”彼はわたしを抱きたかっただけなのだから、勘違いしてはいけない”

 

必死で自分をマインドコントロールする。

わたしは言葉で求めたくない。

言葉でならなんとでも言えるから。

身体を許した後の行動で判断してる。

時々、我慢しすぎて失敗した、と思ったこともあったけど、

やっぱり怖くて、言葉で求めることはできない。

素直になれない。

寂しい寂しい。そばにいてほしい。話したい。声が聞きたい。

性欲意外の面倒くさい欲望を、必死で押さえ込む。

一体なにと戦ってるんだろうと思うが、

料理したり、お風呂に入ったり、亡くなった彼のことを思い出して泣いたりしていれば

たいていは落ち着く。

 

今回の男も、そうやってやり過ごした結果、

既婚者だとカミングアウトしてきた。

知り合って、一ヶ月後の事だった。

”ごめんね、でももう一度抱きたいよ”

男はそう言った。

”喜んで”

わたしは答える。

わたしは、わたしに向けられた性欲しか信じない。

 

 

 

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